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OWNERS BLOG社長ブログ

素材探求の旅  ふふ日光

2021年10月27日

Photo by  sayama

 

 

初秋の気配を感じる間もなく、急に寒日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私も、優秀な女性スタッフの方々も、とにかく体調管理には気をつけながら、日々建築に向き合っております。

以前このブログで、リッツ・カールトン日光に行った時のことを綴りましたが、今回は同じく日光にある「ふふ日光」を探訪した感想をお伝えしたいと思います。

 

 

「ふふ日光」は「田母沢御用邸付属邸」の跡地に建設された、ラグジュアリーリゾートで、隣接して「日光田母沢御用邸記念公園」があり、豊かな自然の中に立地しています。

 

 

「リッツ・カールトン日光」が開業した(2020年7月)と同時期にオープンした事もあり、建築やインテリア、顧客層も対照的なこの旅館にも興味を持っておりました。 スケジュールを調整し新緑も落ち着いてきた頃に訪館しました。

 

 

エントランスからロビーに入ると庭の植栽が美しく見えます。

 

 

こちらはエレベーターホールです。軒天井にはケイカル板が目透かしで貼られ、つや消しの塗装が施されてあります。外観やパブリックな部分はあまり色数を使わず、統一された無彩色でまとまっています。汎用的な建材でも、色遣いを整理すると落ち着いた雰囲気を創ることができますね。

 

 

こちらは鍛鉄の手すりです。こちらもシンプルであり、かつ、ジョイントのディテールは皿ビスでまとまっていました。

 

 

客室もシンプルなデザインで、懐かしさと気品を感じました。この写真はソファから外を眺めたアングルですが、室内の照明を消すことで、外からの自然の光の陰影が美しく見え、ゆっくりと寛げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インテリアのディテールで気になるところは、いつも共通しますが、ここの床見切りには麻と木床の境に、角型真鍮が使われていました。隙間もなく綺麗に納められています。

 

 

そしてこちらは、室内の照明スイッチ。こちらにも真鍮が使われています。富山県高岡市の「FUTAGAMI」ですね。私もインテリアにより「FUTAGAMI」は時々使いますが、レトロモダンなテイストに合うプロダクトが多いです。ペンダント照明の「明星」でご存じの方も多いですね。

 

 

私が感じる「ふふ日光」の建物は、一般的で汎用性のある建材や製品を使いつつも、色彩を統一したり、バランスよく配置したり、そのプロポーションを整えることで落ち着いた高級感のある雰囲気を創り出しています。それは非常に感心すべきことだと感じると同時に、大切なデザインコードだとも改めて思いました。

ただ実は、今回の宿泊で最も印象に残っているのは夜のお食事でした。もちろんお料理そのものも、素材から味付け、器のコーディネートまで素晴らしく、かつ美味しいものだったのですが、何より素晴らしかったのは、おもてなしをしていただいた女性のスタッフの方でした。

 

 

失礼とは思いましたがご年齢をお聞きしますと18歳とのこと。その年齢とは思えないほど会話がしっかりしていて、お料理もお酒についても大変詳しく説明してくださるのです。

おそらく普段から、懸命に勉強をされているのだと思います。少ない会話の中にも、とても芯の通った方であることがうかがえました。

「いにしえ」の自分が同じ年齢のころは、建築を目指し学生として青春を謳歌していましたが、これほどエネルギーに溢れていただろうか… この方は、この先どんな素敵な人生を歩むのだろうか、と感慨を深くしながら、而今を美味しくいただきました。

 

 

住宅の設計・建築の仕事をしていると、お施主様の将来を想像することが必要になります。成長の過程で、その家がどういうものであったら良いのかを考えるためです。

ですので、今回もつい「この方はいつか独立するのではないだろうか」「何か自分でお店を開いたりするのかも」など、口には出しませんが、色々な未来を想い描いてしまいました。これも一つの職業病なのかもしれませんね。

おもてなしをいただいたこの女性の方からは、目には見えないエネルギーが溢れていました。これはきっと若さだけではなく、この方の「生きる姿勢」にもよるものだとは思います。

忙しい日々の中で、非日常や癒しの空間は、心をリセットする為にも大切ですが、人間力の高い方と出会う事も旅のおおいなる意義ですね。

また、探求の旅にでかけてまいります・・・