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家族とクルマのためのビルトインガレージ
2024年01月22日
クルマ社会の日本では、ガレージを織り込んだ住まいづくりが暮らしやすさを左右します。
玄関アプローチと一体でデザインされた住まいの顔と呼ぶにふさわしいガレージから、愛車をショーアップして楽しむガレージ・趣味空間の延長となるガレージまで、理想とするガレージは人さまざまです。
そこで今回は、家族もクルマも喜ぶ「実用的で、なおかつ自慢したくなるガレージ」について、DIP建築都市設計事務所の佐山利光氏にお話を伺いました。
1.住む人の暮らしやすい動線のガレージを提案
DIPの事務所のある栃木エリアでは、クルマが無くては生活できない地域が多く、住まいの計画でも2台、3台分の駐車スペースを希望される方がほとんどです。
DIPでは、道路・敷地・建物の関係性を考え、ガレージへの軌道をチェックしながら、計画段階から「生活動線を考えた」ガレージを提案します。
そのために、図面・スケッチ・スタディモデルなどさまざまな方法で、クルマと住まいを有機的につなぐガレージを計画・検討・修正を重ねてまとめています。
空色を見る中庭の初期のスタディモデルより
1-1.傘を使わずに帰宅できる、ストレスフリーな「屋根のあるカースペース」
DIPでは「傘を使わないで、玄関に入れるストレスフリーなガレージ」を少なくとも1台分は確保するように提案します。
これは、子どもさんたちと買い物を済ませたお母さんが、ストレスなく玄関ドアを開けられるようにという心づかいからはじまったことですが、子どもさんが成長して中学生になると屋根のあるガレージに通学用の自転車を置いたり、雨ガッパをほしたり、あるいは雨の日にいらした高齢のお客様に喜ばれたり、というメリットがあります。
単に車を停めるだけでなく、生活動線の視点で見ると「クルマと住まいをつなげる空間」として大きな役割をはたしているんですね。
計画段階で、雨の日のストレスのないガレージを1台分計画することによって、その後30年以上、傘を使わずに帰宅できる暮らしを実現できるのです。
1-2.趣味空間から生活空間までマルチに役立つ、ビルトインガレージ
ビルトインガレージは趣味空間・コミュニケーションスペース・生活空間としても活躍します。
DIPのお客様の場合でも、
- クルマやバイクのメンテナンススペース
- DIY工房
- キャンプ用品やスポーツ用具などを置く趣味空間
- 遊び場
- 駐輪スペース
- BBQやホームパーティーなどの憩いの場
- 雨ガッパなど自転車用品を干すスペース
など、十人十色、さまざまな使い方をしています。
要は、ビルトインガレージは、単なるクルマの収納スペースにとどまらない、多目的空間だということなんです。
なお、趣味の空間づくりにつきましてはこちらの記事でもご案内しています。
趣味部屋アイディア集!レイアウトのポイントやDIPの実例を紹介
1-2.素材・仕上げ・照明にこだわり「魅せる空間」づくりも意識する
DIPのお客様の中には
「部屋から窓越しに愛車の様子を眺めたい」
「愛車が映えるショールームのようなガレージを作りたい」
というご要望をいただくこともあります。
特に、玄関アプローチとガレージをつなげる場合は、住まいの顔という点も考えて素材選び、照明選びを大切にしています。
下の画像は、左官仕上げのさざなみのような美しい壁が印象的なアプローチを兼ねたガレージ。左官マイスターであるお施主さまご自身が施工した邸宅です。
1-3.屋根のあるガレージは、3タイプに大別できる
- 完全ビルトインタイプ
敷地が広く、建蔽率、容積率にゆとりがあり、お客様から、シャッターをつけた
ガレージ、プライバシーや防犯性を重視したいというご意向がある場合、居室から愛車を眺めたいというご希望がある場合に、ビルトインタイプをご提案するケースがあります。
- ピロティタイプ
屋根と構造上必要な壁面を残して壁面をオープンにしたピロティ型のガレージは、玄関アプローチとつながり、Door-to- Door 0秒で雨が降っても傘不要。建物右側には2台めの駐車スペースも確保しています。
都市部の住宅のように狭小敷地に屋根つきガレージを希望される場合は、アプローチを兼ねたピロティタイプで提案することが多いです。
- 別棟タイプ
敷地にゆとりがある場合、DIPでは別棟のガレージハウスを提案する場合もあります。
別棟ガレージハウスの場合も、玄関アプローチに車寄せを設けて、家族や荷物を下ろしてからガレージハウスに車を納めるというように車と住む人の動線を考え、雨に濡れないように計画します。
那須の邸宅では、広々とした敷地を活かして、長屋門スタイルの出入り口を兼ねたガレージハウスを提案しています。長屋門の両サイドに駐車スペースを設けることにより、中庭や住宅のプライバシーを守ることもできて、愛犬をふくめたご家族が外部の視線を気にすることなく過ごすことができます。
リビングからガレージの様子がわかるので、愛車の様子をいつでも確認できます。
愛車の整備スペースとしてリフトのあるガレージハウスと住宅、二つの建物を1つの敷地の中に組み込んでいます。
2つの建物で構成することによって、リズミカルで個性の際立つ外観の住宅ができる点もまた、家族とリフトを愛する家
のように、愛車の整備スペースとしてリフトのあるガレージハウスと住宅、二つの建物を1つの敷地の中に組み込んでプランする場合もあります。
規模や目的の異なる2つの建物で構成することによって、リズミカルで個性の際立つ外観の住宅ができる点も別棟ガレージハウスならではの魅力でしょう。
2. アイデンティティのあるガレージ実例8選
2-1.アプローチ兼用ビルトインタイプ
__「TRUCK」があるスキップハウス
玄関アプローチとゆるやかにつながるビルトインガレージ。腰壁で仕切ったアプローチは天井高を変えて広がりを演出。ガレージ上部は中2階の寝室。
2-2.愛車を愛でるビルトインガレージ
絶で素敵なガレージハウス
夫の趣味部屋に隣接して設けたビルトインガレージ。開放的なガラス壁とガラスドア越しに趣味部屋から愛車を鑑賞したり、こまめに手入れをして楽しんでいます。敷地内に独立したガレージハウスが別にあり、仕事や外出ではもっぱら別棟のクルマを利用されていらっしゃるご様子です。
2-3.陰影の美しさが印象的なアプローチ兼用ガレージ
空色を見る中庭の家
左官仕上げの美しいR壁を通り玄関ドアを開けると、中庭のシンボルツリーが出迎える、陰影の美しいアプローチ兼用ガレージ。
出入り口の間口は十分なゆとりを持ち、車庫入れのしやすいガレージです。
2-4. 傘をささずに帰宅できるピロティガレージ
屋敷森の家のアプローチ兼用ガレージは、上に居室がないので厳密にはピロティではありませんが、両サイドの壁や、奥の庭に繋がる部分の壁を抜いて、車寄せをアレンジしたような構成になっています。
クルマ2台が駐車しても、脇を人が通行できるような間口で計画しています。
駐車スペースの奥にはクルマ用品等の収納スペース、玄関アプローチですので、ライティングにも細心の配慮をしています。
2-5.孟宗竹を使ったアプローチ兼用ガレージ
孟宗竹の産地として有名な宇都宮市、若山牧場の竹で作ったルーバーが力強い、野趣に富むピロティ型ガレージ。年月とともに飴色に変化する孟宗竹がシンプルなガレージのアクセントに。
2-6.リビングから愛車を愛でるガレージ
平屋部分の屋根を延伸して構成したアプローチを兼ねたビルトインガレージ。LDKに設けた掘り炬燵スタイルの食卓から、いつでも庭と愛車が楽しめます。
2-7.ドラマチックなライティングとレンガが際立つバイクガレージ
玄関アプローチ脇に設けられたステージのようなバイクガレージ。スロープを使って駐車して、そのまま玄関に。ドラマチックな照明・インダストリアルテイストのレンガの背景・ラスティックな床がマッチしてヴィンテージ感のあるアプローチを印象づけます。
素材感と光のコーディネーとでガレージ空間の印象は大きく変わります。
2-8.愛車をリフトできるガレージハウス
愛車を整備するためのリフトのついたガレージハウスを設けた住宅。
敷地と道路の条件を生かして、雨の日にはクルマを玄関アプローチ手前に停めることができます。また、リビングルームからガレージハウスの気配を感じられるように、住宅とガレージハウスの配置を計画。
3. ライフスタイルに合った使いやすく美しいガレージを
DIP建築都市設計事務所は、栃木県宇都宮エリアを拠点に「Identityのある住まい」づくりを20年以上にわたり手がけ、これまでに2,300軒の住宅建築に携わってきました。
DIP(Dream Identity Partner)という名称は、自分らしい住まいの夢を実現するためのパートナーという私たちの理念を言葉にしたものです。
最適なガレージは、クルマの台数や敷地など、様々な条件によって異なります。出し入れしやすいストレスフリーなガレージにするために、私たちは皆さまの愛車とライフスタイルに合わせたご提案を行います。
単にクルマを停めるだけでなく、住まいの顔として、ライフスタイルを満喫するパーソナルスペースとして、「用と美」を兼ね備えたガレージをご提案いたします。
住まいづくりについてのご相談は、DIP建築都市設計事務所におまかせください。
●監修
佐山 利光さん
株式会社DIP建築都市設計事務所 代表取締役。 一級建築士。
事務所名DIPの由来は、D(Dream お客様の夢)I(Identity)P(Partner)〜それぞれのお客様の住まいに対する夢を実現するパートナー〜という企業理念による。
建築家の作品ではなく「その人らしい家づくり」を大切にして、常にお客様によりそった住宅・店舗づくりを提案している。
創業以来、住宅および店舗合わせて2,300棟以上の新築・リノベーションプランに「お客様のIdentity」を投影した建築を手がけている。
●ライター
藤江 薫
二級建築士・宅地建物取引士・インテリアコーディネーター。電鉄会社の「住まいと暮らしのコンシェルジュ」として、7年間で1,000組以上の住まいの進路相談を担当。不動産購入・売却・新築・建て替え・リフォーム・住みかえなど、問題解決のために、さまざまな選択肢を提案。セルフビルドの自宅でバードハウスを製作している。