DIP

寛ぎ+知性+機能美+愛な家

取材作品

好きなものに囲まれて、心穏やかに暮らす

栃木県郊外のゆったりとした環境に恵まれた広大な庭園に抱かれて佇む鈴木邸。なだらかに連なる屋根のフォルムが、街並みと穏やかに調和するようなやさしい雰囲気を漂わせている。

「子どもたちが独立してしまって夫婦二人の暮らしということもあり、終の住処にするつもりで私たちのこだわりにDIP佐山さんをとことん付き合わせてしまいました」と話すのは施主である鈴木様御夫妻だ。

プランニングにあたってDIP佐山さんが心がけたのは、鈴木様御夫妻の要望を超える提案をすること。建築オタクといっても良いくらい知識豊富、かつ研究熱心な鈴木様御夫妻の「やりたい」ことを上回る設計住宅を目指して、鈴木様御夫妻の家づくりはスタートした。素朴でありながら、あくまで上質な空間を求める鈴木様ご夫妻のために、DIP佐山さんは持ちうる知識や経験をフル動員。鈴木様御夫妻が旅行先のホテルの内装で見かけた照明が良かったと言えば、ホテルに電話して照明のブランドを探しあてることも時にはあったそうだ。

その甲斐あって、外観に始まり、インテリア、扉のデザインやフローリングの細かい仕様など、随所にこだわりのある家が完成。ゆったりとした空間の中に、お互いの好みを反映させたコーナーがあり、ふたりの気配を感じながら、ちょうどよい距離感で暮らせるに違いない。

その中でもっとも鈴木邸を象徴するのが、リビングの一区画につくられたホームライブラリーだろう。「将来は近所の子供たちを集めて、読み聞かせをやりたい」という想いを叶える特別な空間である。

「面積も予算もオーバーしてしまったけど、気に入ってもらえてよかったです。安藤忠雄さんが設計した司馬遼太郎記念館を参考にデザインしました。あそこは高さ11メートルの吹き抜け空間に、大書架が広がるんです。鈴木さんのお宅では、10m以上の高さのある吹き抜けに沿うように曲面の本棚を、天まで届かんばかりに設置。 背の高い本棚は圧迫感を与えがちですが、吹き抜けにすることでその圧迫感を回避。さらに密室にしないことで家族の気配を感じることができるでしょう。また太陽の位置を考慮しながら、吹き抜け上部に設置したハイサイドライトからの光が、周囲の壁に反射し、空間を照らします」と、DIP佐山さん。

天井に備え付けたシーリングファンは、アメリカのハンター社のインダストリアル。これは鈴木様御夫妻が直接探されたもの。心地よい風を送り届けるハンター社のシーリングファンは、創業以来1世紀を超える歴史を持ち、まさに世界のトップブランド。だが、本来は工業用の本機。購入した際には、日本の個人住宅で使うのは初めてだと言われたというエピソードが残る。DIP佐山さんと施主である鈴木様御夫妻、両者の見識とこだわりが生んだなんとも贅沢な図書スペース。この吹抜けの中にいると、ゆったりし過ぎて時間が経つのを忘れてしまうほど。そのさまはライブラリーカフェ以上のくつろぎを生んでくれる。

また、環境と防災に配慮して、過度に設備機器を頼らなくても暮らしていけるよう設計されている点も、この家の特長だ。太陽熱を利用するソーラーパネルは屋根一体型で高効率のパネルを採用。再生したエネルギーは非常時の電源に限らず、地熱システムのヒートポンプやファンへの供給電源としても利用しゼロエネルギーで空調換気を可能にしている。井戸水も新たに深削し、水中ポンプ以外にも手動ポンプ(昔ながらの手ゴキポンプ)を取り付け電気が止まっても水の利用を可能にした。暖房は鈴木様御夫妻が厳選した薪とペレットを併用できるストーブを設置している。電気・水道・空調のインフラが無くても生活を可能にする。合理的建築設計は常に鈴木様御夫妻とディスカッションしながら決定していった。

特に地熱を利用した空調・換気システムを組み込んだ点は、この家ならではの工夫だ。地熱は年間を通して15℃前後であり、それを採熱して床下に蓄熱、夏は湿度を下げ冬は過乾燥を防ぐ体に優しいシステムだ。ウィルスや花粉も除去してくれるので常にキレイな空気であり部屋間の温度差もない。熱の移動や通風を効率良く行うために、軒の出を深くし、夏期には上からの日差しを遮らせ、日差しの角度が低い冬季には、熱エネルギーを逃さないよう空調換気の一助としている。空調換気のおかげでこの家にはエアコンがないのだが、シーリングファンで十分とのことで、いたって快適だという。

太陽の光、地熱、そして風といった自然エネルギーを利用するパッシブデザインを随所に組み込み、ワンランク上の快適な住まいを実現している。「設計住宅の魅力は、家族構成やライフスタイルといった要素と、自分らしさを設計に反映させられることに尽きると思います。それは老後を見据えた家だろうが子育てを重視した家だろうがライフステージによって変わることはありません。そういった意味では鈴木様御夫妻は「やりたいこと」が明確でした。施主の「やりたい」が明確だと私どももそれに対して「それをさらに超えた提案をしてやろう!」って気になるんですよね。その分苦労はするんですけど(笑)」。鈴木邸の家づくりをDIP佐山さんは笑いながら振り返るのだ。

  • 作品名

    寛ぎ+知性+機能美+愛な家

  • 所在地

    栃木県真岡市

  • 家族構成

    ご夫婦

  • 居住年数

    4年

  • 延床面積・間取り

    385.15u(116.62坪) 5LDK

  • 居住タイプ・構造

    木造2階建て

  • 価格

    家づくり相談をいただいた方限定でお教えしております

  • ご趣味

    旅行