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玄関アプローチで印象をデザインする-DIPが提案する「空間演出」の施工例紹介-
2023年09月06日
Less is More アプローチにテーブルセットを配置した2世帯住宅の玄関&アプローチ
玄関アプローチのデザインにより、住まいの印象は大きく変わります。
街を歩いていると「このドアの先には、きっとすてきな人が住んでいるだろう…」と感じる印象的なたたずまいの住まいに出会うことがあります。
玄関&アプローチまわりの意匠は、接道条件、敷地の特性、ガレージとの関係、2世帯住宅や店舗併用住宅など、シチュエーションに応じたさまざまな角度からの検討が必要です。
家族にとっても、道ゆく人にとっても魅力のある「住まいを印象づけるエントランスまわり」をDIPの施工例からご紹介します。
ドラマチックにライトアップされた玄関&アプローチや、ほっと安心できるほのぼのとした
エントランスなど、自分らしい住まいの顔となる玄関&アプローチ作りに役立ててください。
玄関ポーチやアプローチをDIPの施工事例から紐解く
玄関アプローチは、住まいの外側(パブリックスペース)と内側(プライベートスペース)をつなぐもので、家族やゲストを迎え入れるだけでなく、宅配便や郵便などモノの受け取りなど、外部との接点となる空間です。
そこで、玄関ポーチやアプローチ周りについて、DIP建築都市設計事務所代表の佐山に話を聞きました。
「建築を見る旅をするのが好きなのですが、印象にのこる建築には、必ずすてきなアプローチがあります。住宅を設計する際にも、常に『いい感じのアプローチをつくる』ことを心がけています。住まいから職場へ、あるいは職場から住まいへと向かう時に、玄関アプローチがすてきだと、そこで人の気持ちがリセットされるように思います。たとえ3歩であれ、5歩であれアプローチを歩くことで、すっと気持ちが置き換わるようなスペースを作りたいのです」(佐山)
DIPではこれまでに2,300棟の住宅、店舗づくりに携わってきましたが、たとえばプライバシーを重視するか、街並みに開いたアプローチをとるかによっても玄関アプローチのデザインに求められる要素は異なってきます。
都市部では敷地面積の制約も多く、駐車場とアプローチを兼ねたものから、玄関ポーチからアプローチまでの距離を十分に確保して住む人のステータスを感じさせるものまで、さまざまなタイプがあります。
下の図に、玄関アプローチのDIP流スタイルの一部を紹介します。
玄関アプローチを駐車スペースとして活用
ビルトインタイプガレージを兼ねた陰影の美しい玄関&アプローチ
雨の日でも傘を使わずに帰宅できる、ビルトインタイプの駐車スペースに連なる玄関アプローチ。
ブラケットタイプの船舶照明アプローチ灯と駐車スペース背面のスポットによる陰影のバランスが美しく、ドラマチックな空間に。
「愛車のスペースも住まいの中に一緒に組み込んで欲しい、というお客様のために、DIPではビルトインタイプ、ピロティタイプ、キャンティレバータイプなど、多彩な駐車場兼玄関アプローチのデザインを提案しています」と佐山。
プライバシーを守るコンクリートづくりがおしゃれな玄関アプローチ
プライバシーを守りながらも、優雅なカーブが優しい印象のアプローチ
「お客さまのご意向や、立地によっては、プライバシーを守ることを大切にしたアプローチの提案を行います。上の施工例ではアイアンの門扉を開けると美しい玄関アプローチが続いており、そのアプローチを歩きながら、気持ちを切り替えて住宅にたどりつくように計画をしています」
「時には、スッキリとしたフォルムを大切にしつつ、玄関の中に家族やお客様を引き入れる空間演出として下の施工例のようにアルコーブ型の玄関アプローチも提案します。いずれにしても、玄関まわりの空間は単なる出入り口ではなく、家族にとっては気持ちをリセットして外からホームに帰るべき空間、ゲストにとっては、外と内(住宅)をつなぐ出迎える空間としての魅力を玄関やアプローチまわりの形態、照明、材料、植栽などさまざまな要素のバランスを考えながら計画します」(佐山)
●鬼怒川ワーケーション施工例より
街並みとの調和を大切にした砂利やタイルの玄関アプローチ
二方向接道の敷地を活かしたオープン外構と「通り抜け」できるアプローチ
「オープン外構のアプローチです。幅4メートル以下の道路のため、敷地内にあるスプーンのように見える部分(上の画像参照)を、車のすれ違いスペースとして地域の皆さんも利用できるようにしています」
2世帯住宅の玄関アプローチ
DIPでは、これまでに、さまざまなタイプの2世帯住宅を手がけてきました。
親世帯子世帯の程よい距離感を保つためのノウハウも豊富です。
●格子戸と中庭を共有する2世帯住宅
中庭をはさんで、向き合う2世帯住宅の長屋門のアプローチ
格子戸を開けると、駐車場を兼ねた広々とした中庭があり、中庭を挟んで親世帯と子世帯の玄関が向き合うスタイルの2世帯住宅。建物は1棟で構成しているが、それぞれが独立した暮らしをしています。
▼中庭については、こちらの記事もごらんください。
【間取り事例付き】中庭が住まいにもたらすもの-DIPが提案する、中庭づくり-
●玄関アプローチを共有する2世帯住宅
優雅なアーチをくぐり抜けると、テーブルとチェアのある広々としたアプローチが家族やゲストを迎える。この美しい庭と玄関アプローチを共有して、住宅内部は独立した構成で計画した2世帯住宅。
併用住宅のおしゃれな玄関アプローチ
●独立した玄関アプローチを設けた、ピアノ教室併用の住宅
宇都宮市街地にあるピアノ教室併用住宅
「宇都宮の市街地の土地を入手して、1階にピアノ教室、2階3階を住宅として計画。生徒さんは左側の専用玄関を使い、家族との動線を分けています。2つの玄関ドアを取り囲むR型のファサードが印象的で、地域のランドマークになっています」(佐山)
https://www.dip7.com/wp/house_design/caseb18/
●白いヴォールトで囲まれた1つのドアを共有した、美容室併設の住宅
目印となる白いアーチが印象的な美容室を併用した住宅。
「出入り口を共有して、右側が店舗、左側が住宅と内部で分けています。営業中に子どもが帰宅することを考え、仕事中でも家族の気配を感じられるように計画しています」と佐山。
https://www.dip7.com/wp/beauty_design/case05/
玄関アプローチの施工例7選
多彩な玄関アプローチの施工例について、設計を担当したDIP代表取締役佐山に各プランの特色を聞きました。
人や車が通り抜けできるアプローチ
*敷地北側はあえてオープンスペースにして、車がすれ違えるスペースとして使えるように。近隣の方々からも感謝されています。
●地域に溶け込む大谷石を使ったオープンなエクステリア
ガルバリウム鋼板のシャープな外観と、地元産の大谷石を敷いた玄関アプローチのコントラストが印象的な住宅。大谷石の塀の多い街並みに自然に溶け込むよう計画しています。
「2方向接道の敷地を活かして、南北を突き抜けるアプローチを設けています。また、北側の道路は車幅が狭く車のすれ違いが難しかったので、あえてオープン外構にして車が通れるようにに配慮。ご近所の方からとても感謝されたそうです。建主様は航空機メーカーの技術者でものづくりのプロ。ふだんから3次元でデザインを検討されるため、最終案がまとまるまでに何十回もスタディ模型やCGを制作しました」と佐山。
ピロティに、ガレージ・玄関アプローチをまとめた都市型住宅
玄関前のピロティをビルトインガレージにすることで、雨の日でも濡れずに車の乗り降りができるように計画した市街地の住宅の玄関アプローチ。
木目の美しいピーラー材の玄関ドアは、那須の人気家具工房kinomeの特注品で、節のない柾目がスッキリとした印象。
佐山によれば「ピーラー材というのは松材のなかでも特に目のつまった無節の美しい木目が特徴で、マグロでいえば『大トロ』のような希少な部位です。この住まいのようにアプローチにピロティがあると、ピーラー材が直接雨風にさらされることがないため、時間がたつと、飴色に美しく変化します」とのこと。
中庭をはさんで向きあう和風な玄関アプローチ
長屋門にある美しい格子戸を開けると趣のある中庭が広がるAさま邸。向かって右側が子世帯、左側が親世帯の玄関となってる2世帯住宅です。
「格子戸を開けると、街並みに開いたオープンなアプローチ、戸を閉じるとプライバシーを守れる、安全性の高い中庭となります。共有の中庭があることで、2世帯住宅のほどよい距離感をとるように考えています。最寄り駅から5分の好立地にあり、周囲には飲食店もある土地柄。通りがかった人がおしゃれな飲食店と勘違いすることもたまにあるようです」と佐山。
優美なカーブを楽しむ玄関アプローチ
隣地に公園ができることが決まっていた土地のため、建主さまがプライバシーを守れる住まいを希望された施工事例。
「ジュエリー工房を経営されるご夫妻の事務所を併設した住宅として計画しました。視線を遮りながらも、安定した日差しや開放感を取り入れるため、アルミのルーバーを採用しています。アプローチなどは、建主様がお好きな自由が丘のSHOPを見学して参考にしています。中庭では家族の一員であるゴールデンレトリバーのお気に入りの運動スペースにもなっています」
キャンティレバーを利用したカースペースとアルコーブタイプの玄関
遮熱性フッ素樹脂塗装ガルバリウム鋼板を使ったシンプルな外観が印象的な住宅。2階部分が張り出すキャンティレバー構造を利用して、雨にぬれずに車から玄関に行くことができます。
アルコーブスタイルの窪んだ玄関アプローチは、玄関ドアを開閉したときに雨風や外部の視線からプライバシーを守れるスタイル。
「アプローチを考えるときに、配置や形態だけでなく、玄関ドアアプローチの材料、照明、ポストや表札などの配置などさまざまな要素について検討します」とのこと。
緑が心地よい芝生のある玄関アプローチ
芝生の中にあるエントランスの小道を通ると、優雅なアーチ状の中庭に通じるポーチがゲストを出迎えます。広々とした気持ちの良いポーチにガーデンファニチャーと外水栓を配置。ご近所の人をおしゃべりをしたり、散歩帰りに一休みもできる、豊かなスペースを設けました。
佐山によれば
「道路からアプローチを抜けて、左手に玄関をレイアウトしています。道路などパブリックなところから直接みえないところに玄関ドアを配置して、外部から丸見えにならない、奥ゆかしさも考えています」とのこと。
2アプローチを兼ねたガレージハウスとエントランスポーチ
車が駐車しても家族やゲストが無理なく通行できる、広々とした間口のアプローチがガレージハウスを兼ねている邸宅。
道路などの公共スペースから住宅内部が丸見えにならないように、玄関ドアの角度を45度に振って、計画しています。
「屋敷森に囲まれた敷地で、玄関屋根のある玄関&アプローチを抜けてそのまま樹々のある庭に向かうこともできます。ガレージからは、屋敷森にかこまれた美しい庭の景色がピクチャーウィンドウのように楽しめる奥行きのあるアプローチです」と佐山。
IDENTITYのある住まいづくりは、DIPにご相談ください
DIPの創業者佐山は、本コラム冒頭でも触れているように、永年にわたり各地の建築をめぐり歩く旅を楽しみ、社長ブログですまいづくりに役立つ情報を発信しておりますので、こちらもぜひチェックしてください。
印象的なエントランス、玄関&アプローチのある住まいづくりについてのご相談は、DIP建築都市設計事務所にご連絡をお待ちしております。
●監修
佐山 利光さん
株式会社DIP建築都市設計事務所 代表取締役。 一級建築士。
事務所名DIPの由来は、D(Dream お客様の夢)I(Identity)P(Partner)〜それぞれのお客様の住まいに対する夢を実現するパートナー〜という企業理念による。
建築家の作品ではなく「その人らしい家づくり」を大切にして、常にお客様によりそった住宅・店舗づくりを提案している。
創業以来、住宅および店舗合わせて2,300棟以上の新築・リノベーションプランに「お客様のIdentity」を投影した建築を手がけている。
●ライター
藤江 薫
二級建築士・宅地建物取引士・インテリアコーディネーター。電鉄会社の「住まいと暮らしのコンシェルジュ」として、7年間で1,000組以上の住まいの進路相談を担当。不動産購入・売却・新築・建て替え・リフォーム・住みかえなど、問題解決のために、さまざまな選択肢を提案。セルフビルドの自宅でバードハウスを製作している。