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スキップフロアを間取りに活かした「非日常」の空間作り

2023年11月16日

スキップフロアでつくる住まいのなかの「非日常空間」

スキップフロアを使った空間は、DIPで創造する住まいの魅力のひとつです。平面図ではわかりづらい、スキップフロアの奥深い魅力を実例とともにご紹介しましょう。

 

スキップフロアとは?

スキップフロアとは、1階と2階の間、2階と3階の間のように、各フロアの中間に建築物の床の高さをずらして設ける空間やスペースを指します。


ドアや壁などの仕切りではなく、段差を利用して空間をつくるので、限られたスペースを有効的に活用できます。また賃貸住宅ではあまりみられないので、自由設計ならではの個性豊かなデザインを創造することができます。

 

スキップフロアの魅力

DIPの施工事例には、さまざまな表情のスキップフロアの間取りが登場します。

そこで今回は、DIP建築都市設計事務所代表の佐山氏に、スキップフロアの魅力についてお話を伺いました。

 

視点(アイレベル)の違いを楽しむ「非日常空間」

「同じLDKも、1階からながめるのと、スキップフロアから眺めるのでは、別の景色が広がります。視界が開けることで感じる浮揚感や喜びは格別なもの。住まいのなかに「非日常的なワクワク感」を楽しめるスポットがあるような感覚ですね」(佐山氏)

蔵の街スキップハウス

蔵の街スキップハウスでは、平屋住宅の中央部分に7段のステップを作り、スキップフロアの手前は広々としたLDK、スキップフロアを上がると主寝室こども室などのプライベートゾーンにつながる間取りを考えました。上の画像のように、1階からながめるLDKとスキップフロアの上から眺める景色は、印象が一変します。このギャップがスキップフロアの魅力の1つです。」

 

スキップフロアのある家は、家族とのコミュニケーションが弾む

リビングの家族と、視線や言葉を交わして、絶妙な距離感のコミュニケーションが取れる

中2階にある家

中2階のある家では上の画像のように、

スキップフロアの和室の小窓を開けると、1階のキッチンが目に入ります。和室とキッチンで「おやつよ!」「すぐ行くね」と声をかけあったり、視線を交わすなどのやりとりが自然にできるスキップフロアの高さで設計しています。キッチンからも和室からも家族の気配が感じられ、家族のつながりを深めます。スキップフロアを利用した間取りならではの、自然な距離感が魅力です」と佐山氏。

 

スキップフロアで空間を生かした収納も

大きな空間のなかに、インテリアテイストを変えた空間を共存させる

ビルトインガレージの上部を活用したコックピットのような書斎です。
こちらの記事でもご紹介した趣味空間です。
趣味部屋アイディア集!レイアウトのポイントやDIPの実例を紹介

 

「リビングルームのコーナーで、リビングルームよりも4段(約1m)上がったところにあります。リビングルームで子どもたちが遊ぶ姿を、ママは右手のキッチンから、パパは左上のコックピット型書斎から見守ることができます。LDKと同じ空間ですから繋がりを感じられる一方で、視点高さが通常より1m高くなることで、ふだんとは違う景色を楽しめます」(佐山氏)


「書斎の机をリビングルームに向けていること、書斎を個室として壁やドアで閉じてしまわないことで、LDKとのつながりが生まれる一方で、壁クロスをネイビーにして他の空間とはインテリアテイストを変えています。こどもたちにも『パパの部屋』と認知されています。階段横の部分には収納スペースを設けています」と佐山氏。

 

スキップフロア高さを利用して、空間を緩やかに分ける

壁やドアを使わずに、レベル差によって、空間を緩やかに分ける
Less is More・豊かな空間を持つ家

シャビーシックなシャンデリアが魅力の、フレンチカントリースタイルのLDK。
「育ちざかりの3人のこどもさんを中心に、にぎやかに過ごすLDKです。奥様から『リビングルームは趣をかえて、シックで落ち着ける空間にしたい。LDKをドアで仕切りたくはないが、1つの空間のなかに、ゆったりと落ち着けるスペースがほしい』とご希望があり、3段のスキップフロアでゆるやかにつないだリビングスペースのある間取りをつくりました。」(佐山氏)


LDKとしての一体感は大切にしながらも、ドアや壁を使わずに段差によって空間をゆるやかに分ける手法は、特に子育て世代の住まいでは好評ということです。

 

ちなみにDIPでは、スキップフロアの定義として「段差3段以上」という独自のゆるやかなルールがあるそうです。
「スペースにもよりますが、上の画像のように、段差3段(50センチ前後)程度の高低差があると、視点高さ(アイレベルの違い)を実感できるスキップフロアになります」と佐山氏。緩やかな段差で居室の幅いっぱいにステップを作っておくと、ベンチ代わりに腰かけたり、住む人たちが自由に楽しんでいるようです。

 

スキップフロアでこども時代の原体験「2段ベッドのワクワク感」を再現

1-5.スキップフロアでこども時代の原体験「2段ベッドのワクワク感」を再現

「こどものころに弟と2段ベッドを使っていたのですが、ベッドの上段と下段では見える景色が雲泥の差。兄貴の特権として、上階を独占したいところですが、弟も上階の眺めが大好き。この経験が原点となって、こどもさんのいる住まいにスキップフロアを提案することがあります」と佐山氏。


上のスケッチは佐山氏の『2段ベッドのワクワク感』が伝わるプランです。パブリックゾーンから子供室Aへのスキップフロア(フロアレベルが800UP)だけでなく、主寝室のなかにある書斎にも3段のスキップフロアが計画されています。
こんな家で暮らしたい!と想像力が膨らむ、楽しい住まいのスケッチですね。

 

個室の中に、スキップフロアを作る

個室の中に、スキップフロアを作る

「スキップフロアはLDKのような大空間に取り入れるだけでなく、時には個室の中に設けることもあります。上の画像は、寝室の中にスキップフロアとしてワークスペースを設けたケースです。こちらの住まいは、平屋+スキップフロアで構成しており、寝室の下には収納スペースを設けています。」と佐山氏。

 

スキップフロアを住まいの間取りに取り入れる際のポイント

1つの空間を、壁や建具を使わずに視点高さの違いによってゆるやかに分けるスキップフロアは、計画段階ではイメージの見当がつけにくいと感じる場合もあるようです。
実際にわが家に取り入れる際に検討しておきたいポイントを紹介します。

 

模型やパースで立体的に提案してもらう

「平面図でみてもよくわからない」と感じる場合は、イメージスケッチ、パース、スタディモデルなどで、立体的に提案してもらいましょう。DIPでは模型を製作する専門スタッフがいるため、計画段階で模型による提案を行う場合もあります。


また、お施主様が自分で模型づくりに挑戦するケースもあります。実際に自分で手を動かしてみると階段まわりやスキップフロアのレイアウト関係がよく把握できるので、挑戦してみてはいかがでしょうか?

 

段差が気になる場合は、1階で生活動線が完結するような配慮も

「バリアフリーという視点で考えると、スキップフロアを取り入れるのを躊躇してしまう」
というケースもあります。


高齢のご家族がいらっしゃる場合は、スキップフロア以外の方法で、豊かな空間づくりを行う、あるいは、「個室の中に、スキップフロアを作る」のように、個室の中にスキップフロアを作るなど柔軟に考えましょう。

パブリックゾーンの内部にスキップフロアを設ける場合、家族が怪我をした場合や、ご高齢のお客様が宿泊される場合に備えて、スキップフロアを使わずに利用できるゲストルームやトイレを用意して、スキップフロアを使わずに1階で生活動線が完結する間取りも確保しておきましょう。

 

DIPスキップフロアの実例紹介

DIPのスキップフロア実例をご紹介します。

 

スキップフロアのキッチン

「今日のメニューは何?」キッチンスタジアムのような、スキップフロアのキッチン

「今日のメニューは何?」キッチンスタジアムのような、スキップフロアのキッチン

「今日のメニューは何?」キッチンスタジアムのような、スキップフロアのキッチン

「今日のメニューは何?」キッチンスタジアムのような、スキップフロアのキッチン

「『森・道・くつろぎの家』ではダイニングルームから3段上がったところにキッチンがある間取りです。料理好きの夫が『妻に喜んでもらうために、何を作っているかわからないように調理中のようすがダイニングから見えないようにしたい』と希望して完成した魅せるキッチンです。シンクの前のバックガードは水栓が完全に隠れるように、30㎝ほどの高さのモザイクタイル仕上げに。シンク前に立つとスポットライトを浴びることができ、さながら『キッチンスタジアムに立つ料理の達人』の気分に。作る人と食べる人の気持ちがグンと上がる料理スタジオのようになりました。」と佐山氏。


スキップフロアを活用したステージで、お料理の腕を披露される様子が目に浮かぶようです。

 

スキップフロア+平屋のこどもたちの成長を感じる住まい

こどもたちの成長を感じる「平屋+スキップフロア」の住まい

こどもたちの成長を感じる「平屋+スキップフロア」の住まい
kuribayashi-no-ie

kuribayasi no ie

kuribayasi no ieには、平屋住宅のなかにスキップフロアが2カ所ある間取りに。1カ所めは、上の画像のスキップフロアで、LDKと子どもたちのスペースをつなぐ部分。キッチンの脇にあり、子どもたちは出かける時も、帰宅した時も必ずキッチンからスキップフロアを通る動線になっています。この住まいのテーマである『子どもの成長を見守れる住まい』によりそったものです。スキップフロアは収納スペースになっており、好評です」(佐山氏)


「2カ所めは主寝室の中に設けた、ワークスペース専用のスキップフロアです。」

 

スキップフロアで個性的なインテリアスタイルをつなぐ。クールモダンなダイニングと石貼りのリビング。

クールモダンなダイニングと石貼りのリビング。個性的なインテリアスタイルをつなぐスキップフロア
左官マイスターの家

アイランドキッチンとオーダーメイドのダイニングテーブルのあるシックなダイニングスペース(A floor)と、明るく開放的なリビングルーム(B floor)を2段のスキップフロアで緩やかに分けた、心地よいLDK。

 

ダイニングはダークな天井と光沢のあるフロアタイルの床材でラグジュアリーに仕上げ、スキップフロアで1段下りたリビングルームは石張りのアクセントウォールを中心に、光溢れる明るいリビングルームに。

 

ビルトインガレージの上部を活用したスキップフロア例

ビルトインガレージの上部を活用したスキップフロア空間

上の3枚の画像は、同じリビングルームを2つの視点高さから撮影したもの。左側が通常の1階で眺めたリビング、中央の画像にあるスキップフロアの階段を登り、最上段からリビングを眺めたのが、右側の画像です。左側の写真より広く見えます。


「マイホームのスキップフロアから眺める、ふだんとちょっと違うLDKの眺め。これも『わが家のIdentityとして、楽しんでいただけたらと思います」

トラックのあるスキップハウス
トラックのあるスキップハウス

 

住空間を立体的にデザインするなら、DIPにご相談ください

DIP建築都市設計事務所は、栃木県宇都宮エリアを拠点に「Identityのある住まい」づくりを20年以上にわたり手がけ、これまでに2,300軒の住宅建築に携わってきました。

 

DIP(Dream Identity Partner)という名称は、自分らしい住まいの夢を実現するためのパートナーという私たちの理念を言葉にしたもの。
住まいによって、住衣食+αのQOL(クオリティ・オブ・ライフ)で心身を満たすことがDIPの目標です。
万人向けの規格型の住宅では得られない、住む人の暮らしを考え、敷地の特性を活かす豊かな空間づくりを具現化し、今回のテーマ、スキップフロアのような立体的な空間づくりを行なっています。

 

暮らし方にマッチした住まいづくりについてのご相談は、DIP建築都市設計事務所におまかせください。

 

佐山利光
●監修
佐山 利光さん

株式会社DIP建築都市設計事務所 代表取締役。 一級建築士。
事務所名DIPの由来は、D(Dream お客様の夢)I(Identity)P(Partner)〜それぞれのお客様の住まいに対する夢を実現するパートナー〜という企業理念による。
建築家の作品ではなく「その人らしい家づくり」を大切にして、常にお客様によりそった住宅・店舗づくりを提案している。
創業以来、住宅および店舗合わせて2,300棟以上の新築・リノベーションプランに「お客様のIdentity」を投影した建築を手がけている。

 

●ライター
藤江 薫
二級建築士・宅地建物取引士・インテリアコーディネーター。電鉄会社の「住まいと暮らしのコンシェルジュ」として、7年間で1,000組以上の住まいの進路相談を担当。不動産購入・売却・新築・建て替え・リフォーム・住みかえなど、問題解決のために、さまざまな選択肢を提案。セルフビルドの自宅でバードハウスを製作している。

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