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キッチンのレイアウトポイントをDIPの施工事例と併せて徹底解説!
2023年11月23日
キッチンレイアウトのポイントや、DIPで実際にデザインした「わが家のお気に入りキッチン」をご紹介します。
キッチンの間取りやデザインを検討する際は、参考にしてみてください。
目次
後悔しないキッチンレイアウトのヒント
DIPの作品事例には、現在55のキッチン施工例が紹介されています。
その中で強く印象に残るのが「わが家のキッチンが大好き」というお客様の声がとても多いことです。
そこで今回は、Identityのあるキッチンづくりについて、DIP建築都市設計事務所の佐山氏にお話を伺いました。
「気持ちが上がる」キッチンデザインの考え方
キッチンの間取りやレイアウトはどこから考えたらいいのでしょうか?
「DIPでは、はじめにお施主様が『どんな暮らしを実現したいか』を理解して、そこに寄り添って家づくりをすすめます。
『料理大好き』な人のためには、もっともっと料理を楽しめる場所に、『料理はちょっと苦手‥』という場合には、キッチンに立つと気持ちが上がるようなキッチンの間取りやデザインを心がけています」と佐山氏。
キッチンの間取りは立った時の眺望(窓ごしの景色・家族の気配)を大切にする
「気持ちが上がるキッチン」具現化のためのポイントは?
「建物のゾーニングを考える際に、キッチンの間取り・レイアウトはとても重要です。成長期の子どもさんがいる家庭では、主婦(あるいは主夫)はキッチンに立ちながら、家族を出迎えたり、言葉を交わすので、エントランスからプライベートゾーンにいくまでにキッチンの近くを通る動線を確保する場合もあります。LDKに入った時にキッチンが目立つのは嫌だというケースもあれば、逆にキッチンの気配を消してひっそりとした佇まいのキッチンを希望する人もいます。要望は様々ですが、オープンキッチンの場合、LDKのどこに配置するかを大切にして、時間をかけてていねいに打ち合わせをすすめていきます」
「キッチンの配置については、動線も重視しますが、シンク前に立った時に、庭先の景色を楽しんだり、家族の気配を感じたり、時にはテレビで情報収集したり、など『何が見えるか』を考えて配置しています。心地よい眺望と家族の様子が自然と目に入る場所にシンクを配置した『家族とリフトを愛する家(上の画像)』が、その一例です」(佐山氏)
キッチンの動線は食材搬入・保存・調理・食事・ゴミ出しまでを考えてプランニング
オープンキッチンに憧れるけれど、生活感が出るのはちょっと‥という場合、どうすればいいのでしょうか?
「料理をする時には、購入した食料品を搬入し、冷蔵庫やパントリーなどに収納、調理の際にキッチンに運び調理、食事のあとは片付けがあり、ゴミ出しを行うという一連の作業の流れにそったキッチン動線をプランします。
食材を冷蔵庫に収納するのに便利な『食材専用ドア』をエントランスに設けて、重い食材を直接キッチンに運び込めるようにしています。このドアのおかげで食材の動線を大幅に短縮でき、お施主さまも重宝してくださっています」と佐山氏。
●人の作業動線と視線
「食事の準備、調理、後片付けなど“食に関わる家事作業のコントロールタワー”となるのがシンク前です。主婦(主夫)が料理をしたり、後片付けをしながら、家族を見送り出迎え、子どもたちの様子を見守り、合間には庭先の眺めを楽しめるようなレイアウトで、なおかつ来客、洗濯、買い物、ゴミ出しなどの作業動線を考えながら進めていきます」
●ゴミの動線も計画
「きれいごとだけではすまないのがキッチンの間取り・レイアウト計画。オープンキッチンの場合、ゴミの動線も計画します。コンパクトで良いので、パントリーを設けてゴミ箱の1次置き場とし、勝手口を作る時には勝手口を出たところに2次置き場を用意して、ゴミステーションに指定日に出します」と佐山氏。
キッチンは要望を出しきれない場所・打ち合わせは時間をかけてていねいに
打ち合わせが進むうちに、キッチンに対する要望が変わってくる場合もあるのでしょうか?
「これまで賃貸住宅で暮らしてきて、はじめて家を建てる場合、キッチンは、なかなか自分たちの要望を出しきれない場所です。
ショールームで最新のキッチン設備を見ても、サイズや予算などの制約もあり、そのまま取り入れることは難しく、現実と折り合いながら、計画段階では複数案を提示する場合もあります。ゼロからキッチンを作り上げるためには、時間をかけてていねいに打ち合わせを重ね、模型、スケッチ、施工例資料などを参考にしながらイメージを固めていきます」
キッチンの収納計画:パントリー・引き戸式背面収納など収納スペースを確保する
オープンキッチンにしたいけれど、LDを常にスッキリと美しい『整った状態』で維持できるか心配です。
「オープンキッチンには、吊り戸棚がありません。スッキリ美しく使うためには、食材・食器・調理用品のための十分な収納スペース・ゴミ箱のスペース・冷蔵庫はじめ各種家電の配置計画が大切です。LDK側から直接目に入らない場所に、コンパクトでも使いやすいパントリー(上の画像2点)や、引き戸スタイルの背面収納スペースを計画します」
「パントリーの一部を土間仕上げにして、ゴミ箱や野菜類の収納スペースにする場合もあります」(佐山氏)
おしゃれなキッチン集Style Book ●DIP社の施工事例より
現在DIPのホームページには55邸のキッチンが掲載されています。
アイランド型キッチン、ペニンシュラ型キッチン、2列型キッチンから、I型キッチン・L型キッチンまでさまざまなレイアウトがありますが、施工例の9割がオープンキッチンで、残り1割も加熱調理機器周りのみ壁のあるセミオープンタイプのキッチンです。
キッチンは今やリビングダイニングの“食のコントロールタワー”という位置づけに。
調理機能を優先する人、家具のようなキッチンとして、スタイリッシュな空間を優先する人、みんなでキッチンに集まって賑やかに過ごしたい人など、豊かで自分らしい暮らしを楽しむIdentityのあるキッチンが揃っています。
アイランド型キッチンは、にぎやかに料理を楽しめる回遊動線に
アイランド型キッチンは、キッチンを取り囲むようにして調理ができるので、複数で料理をする場合にも便利なキッチンです。
●2世帯の家族が集まる美術館のようなキッチン
4つの中庭がある家
2世帯住宅のメインLDK。親世帯には別に独立したキッチンがありますが、ふだんはアイランド型キッチンでにぎやかにお料理を楽しみます。回遊性のある作業動線で、複数で料理をする時に使いやすいキッチンレイアウトです。
下の画像の4つの中庭がある家は、2世帯住宅のメインキッチンで、ふだんは親子一緒に料理をするため、ゆとりのあるアイランド型キッチンを選びました。
●木の質感が印象的な、カフェのようなたたずまいのアイランドキッチン
モダニストだけどオーガニックも似合う家
アイランド型キッチンのバックガードを15センチほど立ち上げて、シンクが丸見えにならないように考えたデザインをレイアウト。背面のカウンターと壁は十分な余白を残して、愛用のキッチン用品をディスプレイ収納しています。
「キッチンは妻が最も気に入っている場所です。ひとつひとつ選りすぐりのものを置いているので収納もスッキリしています。毎日使うからこそ好きなものを並べて、美しいキッチンを保てるようにしています」とお施主さま。
調理時間以外は、家具のようなキッチンデザイン
ソファの背面に、アイランド型キッチンがリビングの家具のようにしっくりと納まるレイアウトです。調理家電類は背面の引き戸収納に納め、生活感を感じないアイランド型キッチン。レンジフードや水栓もオブジェのようにスタイリッシュ。
曲面を描くアイランドキッチン
優美な曲面と鮮やかな色使いが印象的な造作のアイランド型キッチン。
カウンターキッチンで料理を「つくる人」と「食べる人」が一緒に楽しむ
佐山氏によれば「料理をつくるプロセスを楽しんだり、できたての料理を、つくる人と食べる人が一緒に楽しめるのが、カウンターキッチンの醍醐味です。オープンキッチンにするとどうしてもLDKの中でキッチンの占める割合が多くなりがちですが、かといってリビングルームも十分に確保したいので、最近は配膳の必要のない、キッチンとダイニングが繋がったタイプを選ぶお施主さまが増えています」とのこと。
DIPで実現したカウンターキッチンは、どれも個性的。
●キッチン・カウンター一体型のペニンシュラキッチン
城址公園に建つ店舗併用住宅
白でコーディネートした軽快なLDK。自由に使えるリビングスペースを広く取り、カウンターキッチンで食事を。調理家電や食器類は背面の引き戸収納に。
●キッチンに造作カウンターを現場で施工したカウンターキッチン
益子の、桜がみえる家
施主の思いより抜粋
「パリのアパルトマンみたいな住宅を建てたい」とハウスメーカーや工務店を巡りましたが叶いませんでした。好きなものを形にするには、素材や色、質感など細部にこだわり、納得できるまで熟考を重ねることが重要でした。
開放的なリビングは家族とのコミュニケーションがとれるよう設計されています。それでいて自分の時間を大切にできる空間も確保されているので、家族全員がリラックスできる環境に」
佐山さんによれば「キッチンはリビングルームより床高を低く抑えてソファに座る人とアイレベルが揃うように計画しています。またダイニングテーブルをつかわず、キッチンの周りに木のカウンターテーブルをしつらえました」とのことです。
ヴィンテージモダンなインテリアにマッチするように、重厚な木製カウンターを造作してキッチンに繋げています。リビングルームのソファに座る人とキッチンで作業する人のアイレベルが揃うように、キッチンの床を下げています。春先には、キッチンから庭の桜を楽しめます。
DIPだからできる、造作キッチン
アイランド型キッチンに、造作したくの字型ダイニングテーブルを組みこんだキッチン
左官マイスターの家
アイランド型キッチンのセラミック素材カウンタートップとコーディネートした“くの字”型のダイニングテーブルをDIPで造作。広々としたダイニングルームの中心にレイアウトしています。
●2列型キッチンの中に、おにぎり型ダイニングテーブルをレイアウトしたキッチン
シンプルライフと素敵ご夫婦の家
時には、DIPでダイニングテーブルをデザインする場合もあります。
「ダイニングテーブルはDIPさんに作っていただいたオリジナルです。柔らかな暖色の可愛らしいテーブルで家族が顔を揃えて食事するにはぴったりです。私たちの理想に合わせて家具も造作していただきたいへん満足しています」とお施主さま。
スキップフロアにセンターキッチンをレイアウト
「森・道・くつろぎの家は、料理を楽しまれるご主人が「どんな料理が出来上がるのか楽しみにしてもらうために、調理中の手元がダイニングから見えないようにしたい」と希望されました。完成したキッチンは、スキップフロアの最上部で、シンク前のバックガードを約30cm立ち上げました。煌めくモザイクタイルを施したキッチンでスポットライトを浴びながら料理をしていると。さながら『料理の鉄人」で気分も最高のようです」(佐山氏)
中庭カウンターバーに繋がるビストロキッチン
DIPのアイデンティティキッチンの中には、上の画像のような個性派も。
「中庭に面した窓に向けてキッチンをレイアウトして、窓の向こう(中庭側)にバーカウンターを設置。つくる人と飲む人がやりとりしながら、和気藹々で「家呑み」を楽しめます。お施主さまもお気に入りの中庭活用法ですね」と佐山氏。
ペニンシュラ型キッチン
●家族が自然に集まるオープンキッチン
キッチンに立つと、自然に子どもたちの様子と庭の眺めを楽しめるキッチン。
「オープンキッチンからの眺めは気持ち良いです。大きな窓から庭を望めたり、左からは子どもの気配を感じられるので、季節の移り変わりと子どもの成長を同時に感じられる素敵な場所だと思っています」とお施主さまから嬉しいコメントをいただいています。
●パントリーのある「家具テイスト」のキッチン
キッチンのベースキャビネットの端部を壁に固定した「ペニンシュラ型キッチン」はアイランド型キッチンと比較すると、設置場所がコンパクトで済むため、オープンキッチンの中でもポピュラーな存在です。
リビング側から見えない部分にコンパクトなパントリーを設け、集中収納スペースに。
●照明・カウンタートップの色・質感で、リビングに溶け込むホテルライクなキッチン
城址公園の家
グレートーンでまとめ、洗練されたライティングを施したLDK。
キッチン背面の調理家電類もカラーコーディネートされており、ホテルライクな上質空間に。
リビング空間に溶け込み、存在感を主張しすぎないキッチン
リビングのグレー系のアクセントウォールやソファなどの家具とカラーコーディネートした存在感を主張しすぎない、家具のようなキッチン。背面にデザイン家電をディスプレイ、隣接するパントリーのR壁が優しい印象に。
ホテルライクな空間を希望されていたが、実際に暮らしてみて、生活動線の良さに満足されているそうです。
●Cool Modern style
モノトーンがシックなペニンシュラ型キッチン
●Vintage Mordern style
職住近接リノベーション住宅
奥様の父上が普請されたご実家をフルリノベーションした住宅。
LDKの見事な梁は新築当初のものを塗装しています。風格のあるたたずまいのリビングルームを一望できるステンレスのキッチン。
II列型キッチン(カウンターフロントタイプ)
加熱調理機器を壁づけにして、シンクたまは配膳カウンターをダイニング側に設置したキッチンレイアウト。ディスプレイ用の棚板を設け“魅せる収納”を楽しみたい派におすすめです。
●良いものを大切に使う、素材を大切にした2列型キッチン
空と光で繋がる家
使い込まれたキッチン用品が美しく収納された清々しいキッチン。キッチンの棚受けには、富山県高岡市のfutagamiの銘品を使っています。
●収納力抜群のカウンターが魅力の2列型キッチン
蘇芳の屋敷(リノベ)と季節の花を愛する平屋(新築)
築50年の住宅のリノベーション。壁側に加熱調理機器、対面側にシンク調理台を並べてカウンターを造作した2列型キッチン。
●木や石の素材感が魅力のCOZYな空間にマッチする2列型キッチン
シンプルライフと素敵ご夫婦の家
キッチンに囲まれるような絶妙な配置のダイニングテーブルは、DIPでデザインしてオーダーしたものです。
ストーブや、大谷石、あらわしの梁などの組み合わせで、居心地の良い空間に。
壁づけI型・L型タイプ
LDK空間をできる限り広く使いたい、自由に家具のレイアウトを変えてみたい場合は壁つけI型やL型のキッチンがおすすめです。
●カントリーテイストのL型キッチン
蘇芳の屋敷(リノベ)と季節の花を愛する平屋(新築)
ご実家に隣接した若夫婦のご新居。シンクの上の棚は“魅せる収納”スペースにして、お気に入りのキッチンアイテムをディスプレイ。木製のオープン収納でカントリーテイストの居心地の良さが魅力。
●オールステンレスのL型キッチン
紫陽花坂の家
「素材へのこだわり」をテーマにした、イミテーション建材を使わずに作り上げた住まい。キッチンはオールステンレス製のL字型タイプ。
「ステンレスは清潔感があり使いやすく、見た目だけでなく機能面も充実しています」とお施主さま。
キッチンのバックガードを高めに立ち上げて、リビング側からはキッチンが見えないように間取り・レイアウトを計画しています。
●Cozy
愛し合うふたりの家
LDKを広々と使いたいためL型キッチンを希望されたお施主さま。鮮やかなクロスの貼り分けが印象的なキッチン。
■LDKを広々と使えるI型キッチン
奥様のご希望で、壁付けI型キッチンに。「I型キッチンは、空間全体をより広く使えるので快適。すっきりとして清潔感のある、料理が楽しくなるキッチンです」
セミオープンキッチン
●レンジフード周りに造作壁を作り、キッチンの姿を見せないキッチン
空色を見る中庭の家
加熱調理機器の前面に造作壁を作り、シンクのバックガードも15㎝前後立ち上げて、雑然となりがちなシンク周りが、リビング側から見えないようレイアウト。キッチン左側のパントリーも魅力。
●リビング側からキッチンの姿が見えない、ヴィンテージ感ただようキッチン
蔵街の邸宅
バックガードを立ち上げ、加熱調理機器、レンジフード周りは壁で囲んだセミオープンキッチン。リビング側からはレンジフードや冷蔵庫が目に入らないレイアウトになっています。
●ステンレス一体成形のステンレスキッチン
広島のステンレス専門のキッチンメーカーにオーダーした、見事なステンレスキッチン。
スタイリッシュなキッチンから、居心地のいいCOZYキッチンまで、自分らしいキッチンを実現するならDIPで
DIP建築都市設計事務所は、栃木県宇都宮エリアを拠点に「Identityのある住まい」づくりを20年以上にわたり手がけ、これまでに2,300軒の住宅建築に携わってきました。
DIP(Dream Identity Partner)という名称は、自分らしい住まいの夢を実現するためのパートナーという私たちの理念を言葉にしたものです。
住まいによって、住衣食+αのQOL(クオリティ・オブ・ライフ)で心身を満たすことがDIPの目標です。
オープンキッチンスタイルの普及にともない、キッチンは、調理用の設備空間から、リビングダイニングのインテリアエレメントとして「家具のようなキッチン」へと役割を変えつつあります。
食のライフスタイルが大きく変化する中で、それぞれのご家族が思い描くIdentityのあるキッチンを具現化するために、住まいづくりについてのご相談は、DIP建築都市設計事務所におまかせください。
●監修
佐山 利光さん
株式会社DIP建築都市設計事務所 代表取締役。 一級建築士。
事務所名DIPの由来は、D(Dream お客様の夢)I(Identity)P(Partner)〜それぞれのお客様の住まいに対する夢を実現するパートナー〜という企業理念による。
建築家の作品ではなく「その人らしい家づくり」を大切にして、常にお客様によりそった住宅・店舗づくりを提案している。
創業以来、住宅および店舗合わせて2,300棟以上の新築・リノベーションプランに「お客様のIdentity」を投影した建築を手がけている。
●ライター
藤江 薫
二級建築士・宅地建物取引士・インテリアコーディネーター。電鉄会社の「住まいと暮らしのコンシェルジュ」として、7年間で1,000組以上の住まいの進路相談を担当。不動産購入・売却・新築・建て替え・リフォーム・住みかえなど、問題解決のために、さまざまな選択肢を提案。セルフビルドの自宅でバードハウスを製作している。