DIP

鉄と漆喰の家

取材作品

高根沢の地に根ざす暮らしと、人が集まる場所作り

栃木県高根沢の静かな里山のふもとにたたずむ大きな窓と大きな庭の家。二階建てのこの建物は、DIP佐山さんが2007年ごろに設計した川口邸だ。昼は気持ちのいい緑を感じられ、夜は灯る明かりがやさしい住空間に仕上がっている。

設計された家は、主に、2階が川口さんの生活スペース、1階がカフェとしての店舗スペースに利用できるようになっている。2階の居住空間は、大きな窓いっぱいに青空が広がり、むき出しの梁が生み出す天井の高さが気持ちよい。家族が集う2階は、木のぬくもりが感じられ、その快適さがうかがえる。

自分たちの家を建てるなかで、奥さまにはカフェを開きたいという思いがあり、本当に好きなものを集め、お客さんの憩いの場所を作ろうと、計画を立てていたという。家の建築を機に1階をカフェ(予定)、2階を住居とし、川口さんの暮らしが始まった。

「人が集まる場所にしたいという想い・希望に寄り添っていただき、また、地域の雰囲気を活かした提案をしてくださったのが決め手でした。子どもからお年寄りまで、町の人が集まれる場所になればと思っています」と話す奥さま。

1階が奥さまの夢が詰まったカフェ。1人の時間を楽しみたいときはもちろん、日中から気軽に人が集うようなお店を目指し、その土地にあった飲み物や食べ物を提供していくつもりだ。

店内は、梁の持つ木の素材感や薪ストーブ、土間を設置した古民家風の雰囲気を大切にしたナチュラルな空間。外観の漆喰の壁は白漆喰と黒の土佐漆喰を塗りわけ、空間のアクセントに。そんなところにも「単なる住宅ではなく、カフェもありますよ!」という施主の遊び心がのぞく。庭を横目に通り過ぎ、お店の中へ。土間があるからなのか、さながら友達の家へ遊びにきたかのような雰囲気だ。ついつい「お邪魔します」と言ってしまいそうだ(笑)。

また、奥さまのお気に入りカフェのひとつでもある宇都宮のAGカフェ。その雰囲気を参考に同じ工場に発注したというスチールサッシュや金型をモチーフに造作したという扉が、和洋折衷の空間をさらに盛り上げている。

カフェの顔でもありお家の顔ともいえるのが、お二人の要望であった、スチール枠で縁取られた1,2階を貫く開き窓だ。窓を開け放つと気持ちのよい風が1階にスッと通り抜ける。大きな窓を通して眺める庭は、庭と一体となりまるで絵画のよう。部屋に差し込む光を通じてカフェでのほっと一息する時間を極上のものに変えてくれるだろう。

窓越しに自然を感じ、美味しいコーヒーやお菓子をいただきながら、会話を楽しむ。日頃の疲れをリフレッシュする場所でもあり、近所の人や友人が集まってくるコミュニティ空間としての機能も果たす地域カフェ。奥様が目指しているのはそんなカフェだ。

「お店を開いたら今後はギャラリーのような場を設けるなど、色々とやりたいことは膨らみます。自分たちも楽しみながら、地域とともに暮らしていきたいんですよ」。(奥さま)

まだ手入れがされていない庭も計画があるとのこと。 「岐阜のサッカー場で使われている芝を植える予定です。サッカーが好きなのでいつか作ってみたいと思っていたんです」と話すのは旦那さまのほうだ。

また、当時の設計は、自分自身にも挑戦的な部分が多々あったと振り返るDIP佐山さん。

「建て主に喜ばれることは当然ですが、そのなかでも自分の個性を強く押し出そうとしたり、変わった素材を使いたがったり……という思いが強かったように思います。川口邸では二階のバルコニーの手摺を木製にしたことで、3年くらいで根元がぐらついてしまったことがありました。建物は生き物だから、同じ条件ということがない。だからその土地や建物の形状などをどんなに計算しても時間が経たないとわからないことがあるんです。今はその素材を使うメリットやデメリットを説明しながら、未来を見据えた多角的な設計を心がけています」。

夫婦の“やりたいこと”がたくさん詰まった、この家。今後ゆっくりと、お二人らしい家を育てていくことだろう。川口さん、そしてDIP佐山さん、双方が思い描く通りに家のカタチは変化していこうとしている。

  • 作品名

    鉄と漆喰の家

  • 所在地

    栃木県高根沢町

  • 家族構成

    ご夫婦、お子様2人

  • 居住年数

    14年

  • 延床面積・間取り

    174.13u(52.72坪) 4LDK

  • 居住タイプ・構造

    木造2階建て

  • 価格

    家づくり相談をいただいた方限定でお教えしております

  • ご趣味

    カフェ廻り