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二世帯が心地よく暮らせるための
ストレスフリー&バリアフリーな住まい

取材作品

二世帯が心地よく暮らせるための
ストレスフリー&バリアフリーな住まい

栃木県・小山市の閑静な住宅街に、白塗りカベの曲面外壁が目を引く大川邸が佇む。来訪者を優しく招き入れる大谷石敷のエントランスから、すでに素材感豊かな設計が見受けられ、それと調和するように意匠が込められたインテリアがおうちの中にも散りばめられていた。  

元々は平屋だった大川邸。お母様と、その息子さんが実家の建て替えを検討。家族の絆が強く、息子さんが結婚し、新たな世帯を築かれた時の事を想い、お互いがサポートしやすい二世帯で暮らす家をDIP佐山さんに設計を依頼した。

依頼の決め手は、「今よりも必ず良く出来ます!」と言われて任せられると思ったこと、そしてあらゆる要望を受け入れてくれる柔軟性と懐の深さに惹かれたことが大きかった。

           

各世帯の生活空間を分ける必要性から、平屋を木造、地上2階建ての建物に増築。1階を親世帯、2階を子世帯に構成した。「以前は各部屋が密接している間取りだったので、広げて、ゆったりとした光あふれる空間にしようと考えました」とDIP佐山さん。

設計でのリクエストであった平屋からの増築。これは基礎が増築に耐えられるかどうかについて、あらかじめ確認する必要があった。

今回のケースでは「おかぐら」という手法を採用。御神楽「おかぐら」とは簡単に言うと、2階建てを作る際に必要な通し柱を使わずに管柱だけで作ることだ。リノベーションした大川邸の1階の主要構造部は、全て既存のものを使っている。もちろんそのままでは現行法規には適合しないので、綿密な構造計算に基づいた基礎の補強にはじまり、新たな耐震壁の配置、金物の増設等を行っている。

2階を部分増築でなく1階の面積をそのまま2階にのせることは最初から決まっていたが、構造的制限はほとんど気にせずプランを提案したとか。

「リノベーションに限らず新築もそうですが、建築にはさまざまな制約がついて回ります。とはいえ、最初から構造やさまざまな制約に縛られすぎると、住む側にとって心地よい家は出来ません。チャレンジし、最良の答えを出すことが私共に求められているものだと思います。大切なのは、住んでよかったと思えるかどうか。今回私たちが選んだ手法である「おかぐら」を使える職人さんは今や数少ないでしょう。求めるプランに昔の手法がぴったりあてはまるというのも建築の奥深さだと思います」と、DIP佐山さんは建築当時を振り返る。 何度も何度も現地に赴いて計算したそうだ。

難しい工事だったせいか、予定の工期通りに進まず、心配をしていた大川さんだったが、完成した住宅は申し分ないご様子。

「知人を招きたい気持ちになりました。特に2階の廊下つきあたりの窓から見える景色が、私が思い描いていたイメージにぴったりで、自分の考えていた想像以上の家が出来て満足しています」(大川さん)

二世帯住宅のあり方は様々だが、今回は玄関を共有し、それ以外は別々というスタイル。

2世帯の共存共栄のための工夫は2階ホールにある。この贅沢なつくりが、同じ屋根の下にいながら子世帯にとっての玄関のような広がりを生み出している。……。長く暮らす家だからこそ、そんな思いを汲み取ってくれるのはありがたいものである。


「子世帯にとっての玄関であることはもちろん、お孫さんが出来た時に、親世帯が子世帯のお家へ気軽に遊びに行く。そんなイメージを描いています。機能面などからするともったいないスペースともいえますが、このホールがあることによって、ある種の余裕のようなものをもたらし、帰宅してきた際に心が落ち着くのではと思います」。DIP佐山さんの言葉から、家族が目指した「ゆとりのある家」も十分に実現されているように感じられた。


もう一つのお気に入りが、大川さんが職人さんにお願いしながらこまめに手入れしているというお庭と、それに隣り合った玄関アプローチだ。様々な樹形や花々が風景に彩りを添えるガーデンデザインは、デザイン性の高い建物に負けないよう、DIP佐山さんが信頼を置く造園家の方に依頼した。

「依頼をして良かったと思ったのは、工事中でも色々と相談でき、造園家の方もDIP佐山さんもそれに対し丁寧に対応してくれたときです。以前、他の業者に頼んだときは、満足のいくものではなかったので、やはり経験の差というか、想いが伝わる人の方が満足度は上がりますね」(大川さん)

植栽のスペースをしっかり設け、お庭は和のテイストになりすぎないよう、モダンな要素を取り入れてデザインした。その絶妙なバランスが、住まいの顔ともいうべき美しい外観と調和し、周囲の街並みに見事に溶け込んでいる。

「家の顔ともいうべき、アプローチとお庭には大川さんの思い出がいっぱい詰まっていました。リノベーションをするうえで、リノベーション前の雰囲気や佇まいはを残しておきたいという大川さんの強い意向があったので、そこを第一に取り組む必要がありました」と、DIP佐山さん。

納得いくまで作り上げたリノベーションにより、家そのものが生まれ変わった大川邸。四季折々、多彩な家族の思い出を紡ぎながら、未来へと価値を受け継いでいくことだろう

  • 作品名

    二世帯が心地よく暮らせるための
    ストレスフリー&バリアフリーな住まい

  • 所在地

    栃木県小山市

  • 家族構成

    ご夫婦、お子様2人

  • 居住年数

    16年

  • 延床面積・間取り

    70.96坪 3LLDK

  • 居住タイプ・構造

    木造2階建て

  • 価格

  • ご趣味

    絵手紙・旅行