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薪ストーブを囲む家づくり 〜DIP流 家族が集う炉辺のデザイン6選〜

2024年01月13日

森と湖の家より

 

薪ストーブのゆらぐ炎をながめていると、心が満たされ、癒される…
住空間だけでなく、住む人の心身を心地よく温める薪ストーブ。
その取り入れかたのポイントや注意点について、DIP建築都市設計事務所の佐山利光氏にお話を伺いました。

 

1.「薪ストーブのある暮らし」の魅力と注意点

1-1.あこがれからはじまる「薪ストーブのある暮らし」

エアコンや床暖房など、安全で快適な暖房設備が数多くあるなかで、あえて新居で「薪ストーブ」を使いたいと希望するお客様は少なくありません。
多くの場合は、暖房器具としての魅力以上に「薪ストーブのある暮らし」そのものに、魅力を感じているように思います。

 

パチパチと燃えさかる薪ストーブのかたわらで本を読んだり、じっくり煮込んだシチューを作ったり、炎を眺めながら考えごとをしたり‥

都心のマンション暮らしでは実現できない暮らしを象徴するのが「薪ストーブ」です。

 

1-2.「薪ストーブのある暮らし」の魅力

寛ぎ+知性+機能美+愛の家

薪ストーブのある暮らしには、次のような魅力があります。

 

  • 自分で火をおこす、素朴でナチュラルな暮らし

薪ストーブの魅力の1つに、自分で火を起こして暖をとる、素朴で心地よい暖房器具という点があげられます。

スイッチをオンにするだけで短時間のうちに部屋を暖めるエアコンと違い、燃料となる薪を準備して火をおこし、炎のようすをみまもりながら薪をくべるという手作業のプロセスに自然に近い暮らしの魅力があります。

燃料となる薪を自分たちで作る「薪活」という言葉があるように、夏場から薪ストーブに適した木材を調達して、自分たちで薪割や乾燥を行い、冬にそなえて薪を保管している人もいます。
薪ストーブの素朴な暖かさと心地よさをきっかけにして、自然をより身近に感じる人も少なくありません。

 

  • 暖房だけでなく、料理も楽しめる

調理用の天板やオーブンがついたクッキングストーブタイプを選ぶと、ストーブでポトフやシチュー、ピザなどの料理もできます。

 

  • ゆらめく炎(ファイヤーダンス)を楽しめる

薪ストーブの火室の炎のゆらめきは、ファイヤーダンスと呼ばれ、見る人を魅了します。炎のかたわらには、自然に家族が集まってきます。

美しい姉妹の家

 

  • 自然由来の暖かさを楽しめる

DIPにいらっしゃるお客さまは、栃木県内で家づくりを検討する方がメインです。

栃木県内でも北部の日光や那須塩原は、国交省が定める省エネルギー基準/地域区分表で、地域区分2から4に該当する、寒さの厳しい地域ですが、薪ストーブは寒冷地の住宅に適した、輻射熱等を使ったパワーのある暖房器具です。
薪ストーブのある暮らしでは、木に触れて火を眺めるうちに、自然に木や山に愛着がわくようになります。

  • 非常時にも暖房を供給できる

電気・ガスなどのライフラインが止まるような状況下でも、薪があれば、自分で火をおこして暖をとることができます。クッキングストーブタイプであれば料理もできます。

DIPの施工例「寛ぎ+知性+機能美+愛の家」でも、非常時に備えて薪ストーブなどの自立したエネルギー源を取り入れている住まいがあります。

 

  • 人にも環境にもやさしい薪ストーブ

薪の原材料である木材が光合成で長期間Co2を吸収するため、薪は燃焼する際のCo2の排出量をカウントしないカーボン・ニュートラルな燃料です。

長野県環境保全研究所が2010年に実施した調査によれば、石油ストーブの代わりに薪ストーブを使うと、年間約3tのCo2削減効果があると試算しています。

 

1-3.「薪ストーブのある暮らし」の注意点

薪ストーブや暖炉には、燃料となる薪の調達方法、住まいに適した薪ストーブ選びと薪ストーブを安全に使うために必要な遮熱壁や炉台の設計、煙突の設置や煙突の維持管理など、注意すべきポイントがいくつかあります。

 

  • 薪ストーブの設計施工経験豊富な設計事務所や工務店に、計画段階から相談する

薪ストーブ・暖炉は、建築基準法の内装制限や消防法によって、煙突・換気口の設置、周囲の壁・天井に不燃材を用いる、可燃物とストーブとの間に1m以上の離隔距離を確保する、あるいは耐火構造等にするなど、設置に際して、さまざまな規定が定められています。

 

設計にあたっては、上記の規定にのっとり、計画段階から薪ストーブを使うことを前提にした安全・快適・効率よく活用できる住まいづくりが重要です。

薪ストーブのある住宅の設計施工経験が豊富な設計事務所・工務店に相談しましょう。

 

  • 定期的な煙突掃除が必要

煙突内部に付着したススやタールを放置しておくと「煙道火災」の原因になります。ストーブの利用頻度にもよりますが、定期的な煙突掃除が必要です。

大地震が起きると、まれに煙突の継ぎ目が、剪断力によりズレてしまう場合があります。

DIPでは、東日本大震災の際には直ちに薪ストーブ施工業者に、薪ストーブの煙突の点検を依頼しました。

薪ストーブを快適に使うためには、メンテナンスや点検をしてくれる信頼できる専門業者に依頼することも重要なポイントです。

 

  • 薪の購入費用は、1日あたり1,600円程度

薪ストーブの燃料の調達方法は、

①敷地内の木を伐採して薪にする

②薪に適した丸太を購入して自分で割る

③薪を購入する

の3つの方法があります。

薪の購入量は、居住地域、暖房する空間量、薪ストーブの使用時間、薪が広葉樹か針葉樹かなどによりさまざまですが、薪ストーブが普及している岐阜県恵那市の薪ストーブの燃料費試算によれば、薪ストーブを主暖房として1シーズン169日間、1日あたり2束(1束7㎏/640円)の広葉樹の薪を使った場合、下の表のように約26万9千円の燃料費がかかります。1日あたりに換算すると1,600円前後で、これが1つの目安となります。

 

原木を調達して、自力で薪割りをすれば、1シーズンあたり3tで9,000円(1日あたり換算53円)になりますが、かなりの時間と労力が必要です。

 

DIPでこれまでに薪ストーブを導入されたお客様のなかには、薪割や「薪活」を積極的に楽しんでいらっしゃる方もいらっしゃいます。けれども、大多数は週末など自宅でゆっくり過ごす時に、一週間の疲れをリセットしながら薪ストーブ暮らしをほどよく楽しんでいらっしゃるようです。

岐阜県恵那市:薪ストーブとエアコン・石油ファンヒーターとの経済比較より抜粋

 

  • 美しい炎を楽しむには、コツがある

ファイヤーダンスと呼ばれる、ゆらめきのある炎は、薪の形、くべかた、空気の調整などさまざまな工夫やコツを積み重ねて実現します。みなさん、試行錯誤しながら楽しんでいらっしゃるようです。

また、薪は十分に乾燥したものを選びましょう。含水率の高い薪を使うと、着火しづらいだけでなく、不完全燃焼が起きやすく、煙が発生する原因にもなるので要注意です。

 

1-4.ほどよい「薪ストーブライフ」のヒント

  • 日頃の疲れをリセットする「週末薪ストーブ」というライフスタイル

DIPのお客様で薪ストーブを使っていらっしゃるお客様は、ふだんはエアコンを使い、週末やホームパーティなど特別な時に薪ストーブを使うケースが多いです。

 

「あわただしい平日はエアコンを使い、週末は薪ストーブ暮らしで1週間の疲れをリセットしてのんびり過ごす」という週末薪ストーブ派が、DIPのお客様でも増えています。

 

敷地内の木を薪ストーブの燃料にしようともくろむ人もいますが、1シーズンに約3tの薪を消費することを考えると、あまり頑張りすぎずに最初は週末を中心に薪ストーブのある暮らしに慣れることも大切だと思います。

 

  • 吹き抜け空間では、シーリングファンを活用する

吹き抜けのある住宅では、シーリングファンを併用して薪ストーブの暖気を効率よく対流させます。暖気はどうしても室内上部に集まるため、シーリングファンや薪ストーブの設置位置については設計者とよく確認しましょう。

 

2. 家族があつまる炉辺のデザイン

→薪ストーブ・暖炉の施工例6選

 

2-1.ダイナミックな古材大谷石の遮熱壁がフォーカルポイントのリビング

森と湖の家

 

薪ストーブの背面は炉壁または遮熱壁とよばれ、レンガ、タイル、石材など不燃材で作るように規定されています。

森と湖の家では、自然の風合いがみごとな古材大谷石を石組みした炉壁が、リビングルームの存在感のあるフォーカルポイントに。

モダンでありながらヴィンテージ感のある、美しい炉辺が生まれました。

 

2-2.ナチュラルでCOZYな空間をつくる薪ストーブ

シンプルライフとすてきご夫婦の家
バーモントキャスティングス社(米国)の薪ストーブ「デファイアント」は、吹き抜けなどの大空間をパワフルに暖めます。上の画像の薪ストーブはクックトップを使って、煮込み、料理や直火焼きなどの薪ストーブクッキングが楽しめるタイプです。

 

薪ストーブを載せる炉台と遮熱壁はナチュラルでCOZYなインテリアにあわせて、大谷石を採用。前項の古材大谷石を石組みした遮熱壁とは一味違う軽快な趣です。

 

2-3.シンプルモダンな空間にマッチする薪ストーブ

美しい姉妹の家
モノトーンでまとめたクールモダンなLDK。専用アルコーブのなかに薪ストーブをすっきりと納めました。

重厚感のある鋳物の薪ストーブは、遮熱壁や炉台の仕様やデザイン次第でモダンスタイルからカントリースタイルまでさまざまなインテリアにマッチします。

 

2-4.吹き抜け空間を温める薪ストーブ&シーリングファン

屋敷森の家

 

開放的な吹き抜けリビングに設置した薪ストーブ。シーリングファンをストーブのそばに設置して上部に溜まる暖気を撹拌しています。

 

2-5.煙突不要、マンションでも施工できるバイオエタノール暖炉

四つの中庭のある家

 

四つの中庭のある家では、トウモロコシ・サトウキビなど植物由来バイオエタノールを燃料としたバイオエタノール暖炉を採用しています。

燃焼時に煙や煤を出さないので、煙突や排気設備が不要で、マンションやリゾートホテルでも設置できます。またリノベーションの際に設置することも可能で、手軽に暖炉のある暮らしを楽しめます。

 

クールモダンな住宅にもマッチする暖房設備です。

 

2-6.ヴィンテージ感あふれる暖炉が重厚なフォーカルポイントに

益子の桜が見える家

 

益子の桜が見える家は、暖炉の上にある中世を思わせる重厚な装飾や、暖炉に負けない存在感のあるソファなど、重厚でヴィンテージ感のある住まいです。

 

お施主様は、住まいの計画以前から、暖炉の装飾やソファーを準備されており、パリのアパルトマンのような「暖炉を囲むくつろぎ空間のあるリビング」の構想をあたためていました。

 

3.「薪ストーブ」のある暮らし_______あこがれを実現する際の覚悟

DIP建築都市設計事務所は、栃木県宇都宮エリアを拠点に「Identityのある住まい」づくりを20年以上にわたり手がけ、これまでに2,300軒の住宅建築に携わってきました。

 

DIPの作品第1号である那須塩原の家をはじめとして、20年以上にわたり、数多くの薪ストーブ・暖炉のある住宅を手掛けてきました。

 

数多くの施工経験があるからこそ「薪ストーブがほしい」というお施主さまには、薪ストーブのある暮らしの良い点だけでなく、メンテナンスが必要であることや燃料費の問題など、ある程度覚悟の必要な点についても説明をして、ご納得いただいてから計画をすすめています。

 

家族とともにほどよくゆらめく炎を眺めながら、ウィスキーやコーヒーをたしなむ至福の一時は

薪ストーブならではのものです。

 

身体も心も暖まる、心地よい住まいづくりについてのご相談は、DIP建築都市設計事務所におまかせください。

 


●監修
佐山 利光さん

株式会社DIP建築都市設計事務所 代表取締役。 一級建築士。
事務所名DIPの由来は、D(Dream お客様の夢)I(Identity)P(Partner)〜それぞれのお客様の住まいに対する夢を実現するパートナー〜という企業理念による。
建築家の作品ではなく「その人らしい家づくり」を大切にして、常にお客様によりそった住宅・店舗づくりを提案している。
創業以来、住宅および店舗合わせて2,300棟以上の新築・リノベーションプランに「お客様のIdentity」を投影した建築を手がけている。

 

●ライター
藤江 薫

二級建築士・宅地建物取引士・インテリアコーディネーター。電鉄会社の「住まいと暮らしのコンシェルジュ」として、7年間で1,000組以上の住まいの進路相談を担当。不動産購入・売却・新築・建て替え・リフォーム・住みかえなど、問題解決のために、さまざまな選択肢を提案。セルフビルドの自宅でバードハウスを製作している。

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