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心地よい距離感の2世帯住宅 ~DIPがつくる笑顔の暮らし~

2023年12月18日

2世帯住宅づくりで重要なのは、それぞれの暮らしを尊重する「適度な距離感」です。親世帯も子世帯も、ストレスなくそれぞれの暮らしを楽しむ『家族みんな笑顔』の2世帯住宅づくりについて、DIP建築都市設計事務所代表の佐山氏にお話を伺いました。

四つの中庭のある家 中庭ごしに親世帯の気配を感じることができる2世帯住宅

 

1 2世帯住宅プロジェクトのキックオフは、生き方のデザインから

 

1-1.まずは「これからどう暮らしたいか」を可視化する

 

2世帯住宅のご相談のキックオフでは、どのようなことを行うのでしょうか?

 

「まずは、DIPオリジナルの『ライフスタイルシート』に、設計する際に必要なさまざまな情報を、親世帯・子世帯1人ずつそれぞれ別々に記入します。住まいに対する要望、土地について、家族について、資金計画についてなどさまざまな質問があります」

 

ライフスタイルシートには、どのようなことを記入するのでしょうか?

 

「新居で、どのように暮らしたいか、思い描いていることを実現するために、ライフスタイルシートに記入をお願いしています。質問内容は、土地について、資金プランについて、2世帯の家族構成、家族の生活時間、住まいに対する要望など、幅広い内容です。ライフスタイルシートを書き上げると、DIPで読み合わせを行い、内容を確認して、最初のプレゼンテーションの準備に入ります。ことばで表現しにくい部分は、読み合わせの時にお話を伺い補いますので、安心してください」

 

DIPでの家作りの流れのように、ライフスタイルシートの内容をベースに、初回の提案を行います。さらに、DIPで手がけてきたさまざまなスタイルの2世帯住宅をご覧いただいて、自分たちの暮らし方にマッチする2世帯住宅をブラッシュアップします。」

 

1-2.いざという時には、おたがいに助け合える2世帯住宅へ

 

佐山さまは、事務所開設当初より、数多くの2世帯住宅を手がけていらっしゃいますが、時代によって、2世帯住宅も変わってきているのでしょうか?

 

「女性活躍社会、そして職場でのジェンダーギャップをなくそうという世の中の動きを反映して、こどもを保育所に預けて仕事を続けることが一般的になっています。こどもさんが熱を出すなどのアクシデントの際に、手助けしてくれる親世帯がそばにいることは子世帯にとって、心強いこと。そのため、最近は『お互いのプライバシーを守りつつ、いざという時には助け合える2世帯住宅』で暮らしたいと考える子世帯が増えています」

 

親世帯・子世帯がなかよく暮らし続けるための住まいの条件は、家族によって様々です。それぞれがプライバシーを守りながら、いざとなったらお互いを助け合えるベストな距離感を家族間で見つけることが重要です。

エントランス・玄関・中庭・キッチン・浴室・リビングルームなど、何を共有し、何を別々にするのか、専門家のアドバイスに耳を傾けながら、自分達にとっての最善のプランを検討しましょう。

 

1-3.2世帯住宅には、実はさまざまな選択肢がある

 

「一口に2世帯住宅といいますが、立地条件、家族構成、建物条件等によって、さまざまな選択肢があります。DIPでは不動産の売却や購入の仲介の専門スタッフがいるので、下の表のように、親世帯の住まいを立て替える・リノベーション・隣居などの選択肢と、ライフスタイルシートを付き合わせて、さまざまな選択肢を提案します」と佐山氏。

 

1-4.ほどよい距離感をもたらす中庭・デッキなどの「中間領域空間」を大切に

 

ほどよい距離感というのは、具体的にはどのように確保するのでしょうか?

 

「敷地にある程度余裕がある場合は、三夜町の家四つの中庭のある家のように、分棟タイプにして親世帯と子世帯の間に緩衝ゾーンになる中庭などの中間領域を設ける提案をします。また、三夜通りの家の2階フリースペースの地窓のように、窓越しに親世帯の玄関やリビングが見えるように窓の位置を調整することもあります」

 

「最初は、どうしても気持ちが「間取り」に向きますが、ストレスフリーな2世帯住宅のためには「間(ま)」あるいは「中間領域」という室内の延長となる屋外空間が、親子2世帯のプライバシーを守る緩衝装置として大きな役割を果たします」

中庭ヒメシャラを囲む家

四つの中庭のある家

 

1-5.「静かな声」にも耳を傾ける

2世帯分の要望を盛り込んだ2世帯住宅のプランでは、どのような点を大切にされるのでしょうか?

 

「DIPではこれまでに約20軒の2世帯住宅を手がけていますが2世帯住宅と言っても、夫の親世帯との2世帯と妻の親世帯との2世帯では状況が異なります。

2世帯住宅の場合、子世帯の配偶者など、打ち合わせで控えめな方の声もよく聞くように心がけています」

 

‥‥こんな心の機微のわかる佐山さま。いろいろと人生相談したくなりますね。

 

2. DIPスタイル・ストレスフリーな2世帯住宅

2-1.親世帯・子世帯・共有空間のゾーニングにより3タイプに大別できる

DIP社ではこれまでに約20軒の2世帯住宅を手がけてきました。そのなかで、DIP社の施工例に紹介されている7軒の2世帯住宅を、下表のように類型化しました。

 

実際のDIPの2世帯住宅施工例では、親世帯・子世帯・共有空間のレイアウトはより複雑な構成ですが、最初の段階では、親世帯子世帯共有空間のボリュームやバランスをざっくりと把握するために、シンプルなゾーニングで検討します。

 

DIP2世帯住宅の施工例は、

A.親世帯と子世帯をタテ割でゾーニングするタイプ(分棟型・コートハウス型)

B.1階は親世帯・2階は子世帯というように、ヨコ割でゾーニングするタイプ

C.親の実家の敷地に子世代の新居を建てる隣居タイプ

が主流です。

この他の住まいの選択肢として、

 

実家を継承してリノベーションして住み継ぐことを選ぶケースもあります。

2世帯住宅ではありませんが、親から継承した住まいを住み継ぐという選択も、SDGsの時代ならではの住まいのありかたでしょう。

 

いずれの場合においても、DIPの2世帯住宅は「ほどよい距離感」が生まれる、共有空間を十分に確保している点に特色があります。
2世帯住宅のタイプ

 

A.タテ割タイプの施工例

A-1 広々とした門構えと中庭を共有する、分棟型2世帯住宅

三夜通りの家

「三夜通りの家は、妻の実家に新築した分棟型タテ割の2世帯住宅で、歴史のある町並みにふさわしい長屋門が印象的な住まいです。引戸の格子戸を必要に応じて開閉できるので、こどもたちの遊び場としても活躍しています。親世帯と子世帯はそれぞれの生活音が気にならない、まさにほどよい距離感で配置しています。下の画像のように、子世帯2階のフリースペースの窓からは、親世帯の気配が感じられるので、子どもたちのお気に入りスペースになっています。中庭では、新築前の実家の庭の冬椿をシンボルツリーとして楽しんでいます。」

2階子世帯の多目的スペースの地窓から親世帯の気配が感じられる。

 

B.ヨコ割りタイプの施工例

B-1.印象的なアプローチ・玄関ホールを共有した2世帯住宅
「優美なアーチのあるアプローチが印象的な2世帯住宅です。中庭に繋がるゆったりとしたアプローチと玄関は親世帯・子世帯の共有スペースになっています。1階は親世帯、2階は子世帯というヨコ割のゾーニングですが、それぞれの世帯のインテリアがすばらしく、パリのアパルトマンのような佇まいです」


 Less is More・豊かな空間を持つ家

B-2.階段を2カ所に設けて、親世帯・子世帯の動線を考えた2世帯住宅

 

「家族4人がそれぞれ仕事で車を使うため、4台分の駐車スペースを確保した2世帯住宅です。夫の実家を2世帯住宅に建て替えましたが、親世帯から「こたつのある和室(妻)、ギターを弾く個室(夫)が欲しい。あとは子世帯にまかせます」というお話がありました。共有の玄関ホール左手に親世帯の趣味部屋があります。階段を2カ所に設けて、回遊性のある住まいを提案しました」

エントランスホール:左側のドアを開けると親世帯専用スペースへ。階段を上がると広々としたカフェのようなLDKに。

モダニストだけどオーガニックも似合う家

部屋を確保して、そのほかが

 

B-3.平屋のご実家を2階建にリノベーションした2世帯住宅

 

「平屋住宅を2階建にリノベーションした2世帯住宅です。構造上の問題など法的な制約をクリアするために、基礎補強・耐震壁の設置・金物の増設を行い、2階建に増築を行いました。1階の既存住宅部分はバリアフリー仕様にして親世帯の住まいに、広々とした階段ホールのある2階は子世帯が使うヨコ割ゾーニングの住宅です。下の画像のようにガリバリウム鋼板を使ったシャープが外観に生まれ変わりました」

 

ビフォーアフターの画像を見るまで、新築の住まいだと思う人がほとんどという、ドラマチックなリノベーションです。

リノベーションに合わせて、玄関アプローチ・庭のデザインも和のテイストから

四季を通して、花々や樹木を楽しむスタイルにリノベーションしています。

二世帯が心地よく暮らせるための ストレスフリー&バリアフリーな住まい | DIP建築都市設計事務所: 栃木県宇都宮市の設計事務所

C.隣居タイプの施工例

C-1.実家をフルリノベーション+子世帯の住まいを新築

 

築50年の母屋に暮らす親世帯の敷地に、実家から数歩の距離で新築した子世帯の新居。

「子世帯の住まいは、北海道産の杉材や木製サッシなど自然素材を使ったナチュラルで居心地のよい住まいです。お子さまが生まれて3人家族になったタイミングで実現した、まさに自分たちらしい住まいです。同時にご実家のフルリノベーションも行いました。蘇芳(すおう)の花のような深みのある赤で彩ったLDKの天井は、みごとな梁組みを楽しめます。おじい様からの提案で、親世帯には、ひ孫が成長した時に使う部屋が用意されています。ひ孫さんが、親世帯と子世帯の架け橋になるようにと、おじいさまからの素晴らしいプレゼントですね」(佐山さま)

蘇芳の屋敷(リノベ)と季節の花を愛する平屋(新築)



蘇芳の屋敷(リノベ)と季節の花を愛する平屋(新築) | DIP建築都市設計事務所


■参考 相続した実家を住み継いで、リノベーション
最後にご紹介するのは、2階建の生家を平屋に減築して、ご夫婦それぞれの趣味部屋を確保し住み継いだ事例です。ご両親から相続した愛着のある生家でしたので、新築にするか、建て替えるかで悩まれたそうですが、夫から「思い出のある大切な実家を活かそう」と背中を押されて、リノベーションに踏み切りました。

 

「奥様の父上が普請されたご実家をフルリノベーションした住まいです。リビングルームでは、新築当時から使われてきた見事な梁をあらわしにして仕上げ、家族の歴史を感じることができます。実家を継承してリノベーションしたいというご相談も増えています。リノベーションについては、まずは既存の住まいの調査を行い、住み続けるために必要な補強や改修を行なった上でのリノベーションとなります。」と佐山さま。

 

父上がしるした墨付けが残る梁をあらわしにして、活用した新居。

職住近接。お互いの時間を大切に過ごす 夫婦のフルリノベーション住宅

 

3. Tips for 2世帯住宅

3-1.「家族数✖️8坪」が2世帯住宅の広さの目安に

 

2世帯住宅を計画するにあたり、どの程度の広さが必要でしょうか?

 

「一般的には、家族数×8坪が広さの目安になります。6人家族であれば48坪前後の住宅が建てられる広さの土地となります。さらに2世帯の程よい距離感をとるために、中庭やデッキスペース、共有のゆったりとしたアプローチなどの緩衝ゾーンを確保できるように、ゆとりのある敷地を選ぶと、ストレスフリーな2世帯住宅が計画できます」と佐山さま。

 

3-2.土地探しから始める2世帯住宅も

 

DIP社の施工事例には、さまざまな2世帯住宅が紹介されていますが、土地探しから相談にのっていただけるのでしょうか?

 

「DIPにいらっしゃるお客様の中には『親世帯が住んでいる土地・建物を売却して、あらたに土地を購入して2世帯住宅を建てたい』という不動産の組み換えをするかたもいらっしゃいます。売却の話を進めながら、同時に希望する2世帯住宅に適した土地探しもDIPでサ

ポートしますので、まずはご相談ください」

 

3-3.なかよく暮らし続けるためには、ほどよい距離感と自分の居場所が大切

家族全員がストレスフリーな2世帯住宅のポイントは何でしょうか?

「まずは、親世帯・子世帯それぞれのご家族がストレスを感じないほどよい距離感を確保することです。いざとなればすぐに駆けつけられるが、ふだんは気兼ねなく自由に過ごせて、来客を呼べる住まいです」

 

「家族1人ひとりのために心地よい『自分の居場所』を計画します。長い人生の中で、家族の間で関係がギクシャクすることがあっても、親世帯と子世帯の間に緩衝帯となる空間があると、関係性の修復もうまくいくようです」(佐山さま)

 

一昔まえの2世帯住宅といえば、玄関を2つ並べた賃貸住宅のような建物も少なくありませんでしたが、DIPの提案する2世帯住宅はそこに住む2組の家族の気持ちに寄り添って計画される、オンリーワンのオーダーメイド住宅。

DIPの施工例をご覧になって、それまで『2世帯住宅はどうかな‥』とためらっていたのが『こんなことができるんですね!』と目を輝かせる人もいらっしゃるそうです。

 

4. DIPだから実現できる、ストレスフリーな2世帯住宅

DIP建築都市設計事務所は、栃木県宇都宮エリアを拠点に「Identityのある住まい」づくりを20年以上にわたり手がけ、これまでに2,300軒の住宅建築に携わってきました。
DIP(Dream Identity Partner)という名称は、自分らしい住まいの夢を実現するためのパートナーという私たちの理念を言葉にしたもの。

住まいによって、住衣食+αのQOL(クオリティ・オブ・ライフ)で心身を満たすことがDIPの目標です。

 

DIPでは、色、素材、デザインなどの要素をコーディネートして、美しい住宅を創るために提案をしますが、その前提として、まずは、施主様がどうして建てたいかを理解し、その気持ちに寄り添って家づくりを進めることを大切にしています。

2世帯住宅では、それぞれの世帯の要望を折り込みながら、家族全員が笑顔で過ごせる2世帯住宅を考え、計画し、提案します。

 

「2世帯住宅を考えているけれど、家族だけで話していると煮詰まってしまう…」

「他社でプランを見せてもらったけれど、ピンとこない…」など2世帯住宅についてのご相談は、DIP建築都市設計事務所におまかせください。

 

  • 監修

佐山 利光さん

株式会社DIP建築都市設計事務所 代表取締役。 一級建築士。

事務所名DIPの由来は、D(Dream お客様の夢)I(Identity)P(Partner)〜それぞれのお客様の住まいに対する夢を実現するパートナー〜という企業理念による。

建築家の作品ではなく「その人らしい家づくり」を大切にして、常にお客様によりそった住宅・店舗づくりを提案している。

創業以来、住宅および店舗合わせて2,300棟以上の新築・リノベーションプランに「お客様のIdentity」を投影した建築を手がけている。

●ライター
藤江 薫

二級建築士・宅地建物取引士・インテリアコーディネーター。電鉄会社の「住まいと暮らしのコンシェルジュ」として、7年間で1,000組以上の住まいの進路相談を担当。不動産購入・売却・新築・建て替え・リフォーム・住みかえなど、問題解決のために、さまざまな選択肢を提案。セルフビルドの自宅でバードハウスを製作している。

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